「不動産 相続 税率」に関する疑問や不安を抱えていませんか?この記事では、不動産相続税の基本的な税率の仕組みから、複雑な土地・建物の評価額の計算方法、そして適用される基礎控除や配偶者控除、小規模宅地等の特例といった具体的な節税対策まで、網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたのケースに合わせた最適な納税計画を立てるための知識が身につき、賢く相続税を抑えながら、安心して申告から納税までをスムーズに進めるための道筋が明確になります。

1. 不動産相続税率とは何か 基本の疑問を解消
不動産の相続は、多くの人にとって一生に一度あるかないかの大きな出来事です。その際に気になるのが、「不動産相続税率」ではないでしょうか。この章では、不動産相続税の基本的な仕組みや、どのような不動産が課税対象となるのか、そして税額計算の出発点となる基礎控除額について、分かりやすく解説します。
1.1 相続税の対象となる不動産の種類
相続税の対象となる不動産は、土地や建物といった物理的なものだけではありません。不動産に関する権利も課税対象となります。具体的には、以下のようなものが含まれます。
- 土地:宅地、田、畑、山林など、すべての土地が対象です。
- 建物:自宅、アパート、マンション、店舗、工場など、すべての建物が対象です。
- 不動産に関する権利:
- 借地権(土地を借りる権利)
- 地上権(他人の土地に建物を建てるなどして利用する権利)
- 永小作権(他人の土地で耕作または牧畜をする権利)
- 地役権(自分の土地の便益のために他人の土地を利用する権利)
- 鉱業権(鉱物を採掘する権利)
- 温泉権(温泉を利用する権利)
- 立木(土地に生えている木)
これらの不動産や権利は、相続が発生した時点で故人(被相続人)が所有していたものが、相続人へ引き継がれる際に相続税の課税対象となります。海外に所在する不動産も、相続人の居住地や国籍によっては課税対象となる場合があるため、注意が必要です。
1.2 不動産相続税の基礎控除額はいくら
相続税には、全ての相続財産から差し引くことができる「基礎控除額」が設けられています。この基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません。不動産を含む相続財産の総額がこの基礎控除額を超えた場合にのみ、相続税が発生します。
基礎控除額は、以下の計算式で算出されます。
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
ここでいう「法定相続人」とは、民法で定められた相続人のことを指します。例えば、配偶者と子供2人が法定相続人の場合、法定相続人の数は3人となります。この場合、基礎控除額は「3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円」となります。
相続財産の総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税の申告も納税も不要となります。しかし、相続税の特例(例えば、小規模宅地等の特例や配偶者控除など)を適用して税額がゼロになる場合は、申告が必要となるケースもあるため、注意が必要です。
1.3 実際の不動産相続税率が適用される流れ
不動産相続税という言葉がありますが、厳密には不動産だけに個別の税率が適用されるわけではありません。相続税は、故人(被相続人)の全ての財産(不動産、預貯金、有価証券など)の合計額に対して課されるものです。その中で、不動産が大きな割合を占めることが多いため、「不動産相続税」という言い方がされることが一般的です。
実際の相続税率が適用されるまでの流れは、以下のステップで進みます。
- 相続財産の評価:まず、故人が所有していた全ての相続財産(不動産、預貯金、株式など)の価値を評価します。不動産の評価方法については、次の章で詳しく解説します。
- 債務・葬式費用の控除:相続財産から、故人の借金や未払金、葬式費用などを差し引きます。
- 基礎控除額の適用:残った財産から、前述の基礎控除額を差し引きます。この時点で残額があれば、課税対象となります。
- 課税遺産総額の算出:基礎控除額を差し引いた後の金額が「課税遺産総額」となります。
- 法定相続分に応じた取得金額の計算(仮想分割):この課税遺産総額を、民法で定められた法定相続分に従って、各法定相続人が取得したものと仮定して金額を算出します。これはあくまで税率を適用するための計算上の分割であり、実際の遺産分割とは異なります。
- 各法定相続人ごとの税額算出:ステップ5で仮定した各法定相続人の取得金額に、相続税の速算表に定められた税率を適用し、それぞれの相続税額を算出します。相続税率は累進課税制度が採用されており、取得金額が大きいほど税率も高くなります。
- 相続税の総額の計算:ステップ6で算出した各法定相続人の税額を合計し、相続税の総額を求めます。
- 各種税額控除の適用:配偶者の税額軽減や未成年者控除など、各種の税額控除を適用し、最終的な納税額を確定します。
- 実際の負担割合の決定と納税:確定した相続税の総額を、実際に遺産を相続した割合に応じて各相続人が負担し、納税します。
このように、不動産相続税率という個別の税率が存在するわけではなく、全ての相続財産を合算した「課税遺産総額」を基に、法定相続分に応じた仮想分割を行い、その金額に対して累進課税の相続税率が適用されるという流れを理解しておくことが重要です。相続税の速算表は、国税庁のウェブサイトで確認することができます。国税庁 相続税の速算表
不動産を相続する際、相続税の計算にはその不動産の評価額を正確に算出することが不可欠です。不動産の評価額は、現金のように明確な時価がないため、国税庁が定める財産評価基本通達に基づいて計算されます。この評価額が相続税額に大きく影響するため、その計算方法を理解することは非常に重要です。
2. 不動産相続税の計算方法 複雑な評価を分かりやすく
不動産の相続税評価額は、土地と建物それぞれに異なる方法で計算されます。ここでは、その複雑な評価方法を分かりやすく解説します。

2.1 土地の評価額 路線価方式と倍率方式の違い
土地の相続税評価額を算出する方法には、主に「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。どちらの方式が適用されるかは、その土地が所在する地域によって異なります。
2.1.1 路線価方式とは
路線価方式は、主に市街地や住宅地の土地に適用される評価方法です。 路線価とは、国税庁が毎年7月に発表する、主要な道路に面した宅地1平方メートルあたりの評価額(千円単位)を指します。この路線価に、土地の面積や形状に応じた補正率を乗じて評価額を算出します。
路線価は、公示価格の8割程度の水準を目安に定められており、その年の1月1日から12月31日までの相続や贈与に適用されます。
路線価の確認方法
路線価は、国税庁のウェブサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。調べたい都道府県を選択し、市区町村、地名などを絞り込んでいくことで、対象の土地が面する道路の路線価図を閲覧できます。路線価図には、数字とアルファベットが記載されており、数字は1平方メートルあたりの価格(千円単位)、アルファベットは借地権割合を示しています。
2.1.2 倍率方式とは
倍率方式は、路線価が定められていない地域(主に市街化調整区域や郊外、田畑、山林など)の土地に適用される評価方法です。 この方式では、その土地の固定資産税評価額に、国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価額を算出します。
倍率の確認方法
倍率は、路線価と同様に国税庁のウェブサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」内の「評価倍率表」で確認できます。都道府県を選択し、地目(宅地、田、畑など)に応じた倍率を確認します.
2.1.3 路線価方式と倍率方式の比較
以下の表で、路線価方式と倍率方式の主な違いをまとめました。
| 評価方式 | 適用地域 | 評価方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 路線価方式 | 主に市街地、住宅地 | 路線価 × 土地面積 × 各種補正率 | 地域性を反映した詳細な評価が可能。計算が複雑になる傾向がある。 |
| 倍率方式 | 路線価が定められていない地域(郊外、田畑、山林など) | 固定資産税評価額 × 倍率 | 計算が比較的容易。地域特有の要素を詳細に反映させることが難しい場合がある。 |
土地の評価額は、土地の形状、間口の広さ、奥行き、道路との接道状況、利用状況(貸宅地、貸家建付地など)によってさらに複雑な補正計算が必要となる場合があります。特に、貸宅地や貸家建付地のように他人に貸している土地は、自用地(自分で使用している土地)に比べて評価額が減額される特例があります。
2.2 建物の評価額 固定資産税評価額の確認方法
建物の相続税評価額は、原則としてその建物の固定資産税評価額がそのまま用いられます。固定資産税評価額は、市町村(東京23区は都)が固定資産評価基準に基づいて3年ごとに見直しを行い、決定します.
固定資産税評価額の確認方法
固定資産税評価額は、以下の方法で確認できます。
- 固定資産税納税通知書:毎年送付される固定資産税納税通知書に同封されている課税明細書に記載されています。「価格」または「評価額」の欄を確認しましょう。
- 固定資産評価証明書:不動産の所在地を管轄する市区町村役場や都税事務所で取得できます。取得できるのは原則として所有者本人やその親族、代理人、相続人などに限られます。取得の際には、本人確認書類や、相続人であることを示す戸籍謄本などの書類が必要となります。手数料は自治体によって異なりますが、1枚あたり200円~400円程度が目安です。
- 名寄帳(なよせちょう):所有している不動産の一覧が記載されており、各不動産の評価額も確認できます。
なお、建物が第三者に貸し出されている賃貸物件(貸家や賃貸アパートなど)の場合、その建物の評価額は固定資産税評価額から借家権割合を差し引いて評価されます。 借家権割合は全国一律で30%と定められています。
計算式は以下の通りです。
貸家の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合)
また、賃貸アパートやマンションなどの一棟の建物で空室がある場合は、賃貸割合を考慮して評価額を算出します。
賃貸アパート等の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)
2.3 課税対象となる不動産全体の評価額の出し方
相続税の計算における課税対象となる不動産全体の評価額は、上記で算出した土地の評価額と建物の評価額を合計することで求められます。
例えば、相続した不動産が一戸建ての場合、土地と建物は別々に評価され、その合計額が不動産全体の評価額となります。マンション(区分所有建物)の場合も、専有部分の土地(敷地権)と建物(専有部分)に分けて評価し、合算します。
この不動産全体の評価額は、相続財産全体の総額を算出する際の重要な要素となります。相続税は、現金や預貯金、有価証券など、他のすべての相続財産と合算した総額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額に対して課税されます。
不動産の相続税評価は専門的な知識を要するため、適切な評価を行うためには税理士などの専門家への相談を検討することをおすすめします。
3. 不動産相続税率を下げるための節税策
不動産相続税の負担を軽減するためには、様々な節税策を理解し、適切に活用することが重要です。ここでは、特に効果の高い節税策とその適用条件、そして注意点について詳しく解説します。

3.1 配偶者控除の適用条件と効果
相続税における配偶者控除は、相続税の節税策の中でも最も強力なものの一つです。これは、亡くなった方の配偶者が遺産を相続した場合に、一定額まで相続税が非課税となる制度です。
3.1.1 配偶者控除の適用条件
- 法律上の配偶者であること:内縁関係の配偶者には適用されません。
- 相続税の申告期限までに遺産分割が確定していること:原則として、相続開始から10ヶ月以内に遺産分割協議が成立し、配偶者の取得する財産が確定している必要があります。
- 相続税の申告書を提出すること:控除の適用を受けるためには、たとえ税額がゼロになる場合でも、必ず相続税の申告書を税務署に提出しなければなりません。
3.1.2 配偶者控除の効果
配偶者控除を適用することで、配偶者が相続する財産のうち、以下のいずれか多い金額まで相続税が課税されません。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
この控除を適用することで、多くの場合、配偶者が相続する財産に対する相続税は実質的にゼロになります。ただし、この控除は一次相続(被相続人から配偶者への相続)において大きな効果を発揮しますが、配偶者が亡くなった際の二次相続まで考慮した上で、遺産分割を行うことが長期的な視点での節税につながります。
3.2 小規模宅地等の特例を最大限に活かす
小規模宅地等の特例は、居住用や事業用として使われていた土地の評価額を大幅に減額できる制度で、不動産相続において非常に重要な節税策です。この特例を適用することで、土地の評価額が最大80%減額されるため、相続税の負担を大きく軽減できます。
3.2.1 特例の対象となる宅地の種類と減額割合
小規模宅地等の特例には、主に以下の3種類の宅地があります。
| 宅地の種類 | 主な要件 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 被相続人等が居住していた宅地 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 被相続人等が事業を営んでいた宅地(不動産貸付業を除く) | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 被相続人等が不動産貸付業を営んでいた宅地 | 200㎡ | 50% |
3.2.2 適用を受けるための主な要件
特例の適用を受けるためには、宅地の種類ごとに細かな要件が定められています。特に、特定居住用宅地等については、相続人が被相続人の居住地に同居していたか、あるいは「家なき子特例」と呼ばれる、相続開始前3年以内に自己所有の家屋に居住したことがないなどの要件を満たす必要があります。これらの要件は複雑であり、一つでも満たさないと特例の適用が受けられないため、事前の確認が不可欠です。
例えば、特定居住用宅地等の場合、相続人がその宅地を相続し、相続税の申告期限まで保有し、かつ居住を継続していることなどが求められます。また、事業用宅地の場合は、事業を承継し、申告期限までその事業を継続していることなどが要件となります。
3.3 その他の有効な節税対策と注意点
配偶者控除や小規模宅地等の特例以外にも、不動産相続税の節税に繋がる様々な対策があります。ただし、それぞれにメリットとデメリット、そして注意点が存在します。
3.3.1 生前贈与の活用
生前贈与は、相続財産を事前に減らすことで、将来の相続税の課税対象額を減らす効果があります。特に、年間110万円までの贈与は非課税となるため、計画的に贈与を繰り返すことで、長期的に大きな節税効果が期待できます。
また、「相続時精算課税制度」を利用すれば、2,500万円までの贈与が非課税となり、贈与時には税金がかかりません。ただし、この制度を利用した財産は相続時に相続財産に加算され、相続税が計算されるため、節税効果は限定的です。さらに、相続開始前7年以内(2024年1月1日以降の贈与から段階的に延長)に行われた贈与は相続財産に加算されるため、早期からの計画が重要です。
3.3.2 不動産の評価額を下げる対策
- アパート・マンション経営:土地の上に賃貸物件を建築することで、土地は「貸家建付地」として、建物は「貸家」として評価され、評価額が下がります。これにより、相続税評価額を圧縮できる可能性があります。ただし、空室リスクや修繕費用などの経営リスクも考慮する必要があります。
- タワーマンション節税:かつては、高層階のタワーマンションは市場価格と相続税評価額の乖離が大きく、節税効果が高いとされていました。しかし、令和6年1月1日以降の相続から適用される税制改正により、評価方法が見直され、この節税効果は大幅に縮小されています。安易なタワーマンション購入による節税は、もはや期待できないことに注意が必要です。
3.3.3 生命保険の活用
生命保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が設けられています。この非課税枠を活用することで、相続財産を減らしつつ、相続税の納税資金を確保することができます。例えば、法定相続人が3人であれば、1,500万円までの生命保険金は相続税の対象になりません。
3.3.4 養子縁組による基礎控除額の増加
養子縁組を行うことで、法定相続人の数を増やすことができ、これにより相続税の基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)が増加します。ただし、相続税法上の法定相続人の数には制限があり、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとされています。また、養子縁組は家族関係に影響を与えるため、慎重な検討が必要です。
3.3.5 遺言書の作成
遺言書は直接的な節税策ではありませんが、円滑な遺産分割を促し、結果として節税策の適用を確実にする上で非常に重要です。遺言書がない場合、遺産分割協議がまとまらず、配偶者控除や小規模宅地等の特例の適用が遅れたり、受けられなくなるリスクがあります。特に、特定の相続人に不動産を承継させたい場合や、共有状態を避けたい場合には、遺言書が有効です。
3.3.6 節税対策における注意点
- 専門家への相談の重要性:相続税対策は非常に複雑であり、税法も頻繁に改正されます。税理士などの専門家に相談し、自身の状況に合った最適な対策を講じることが最も重要です。誤った判断は、かえって税負担を増やしたり、追徴課税の対象となるリスクがあります。
- 税法改正の確認:前述のタワーマンション節税の例のように、税法は改正されることがあります。常に最新の情報を確認し、現在の税制に即した対策を行う必要があります。
- 早期からの対策:生前贈与や不動産活用など、多くの節税策は長期的な視点での計画と実行が必要です。相続が発生してからでは手遅れになるケースも多いため、早めに相続対策を始めることをお勧めします。
4. 不動産相続税の申告から納税までのロードマップ

不動産の相続は、被相続人の死亡から始まり、相続税の申告、そして納税という一連のプロセスを経て完了します。このロードマップを正確に理解し、計画的に進めることが、スムーズな相続手続きと適切な納税のために不可欠です。
4.1 相続発生から申告までの期間と手続き
相続が発生した場合、相続人は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税を完了させる必要があります。この期間は非常に重要であり、手続きを怠ると延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。
具体的な手続きは以下のステップで進行します。
- 遺言書の確認と相続人の確定:まず、遺言書の有無を確認し、法定相続人を確定します。遺言書がない場合は、民法の規定に基づき相続人が決定されます。
- 相続財産の調査と評価:預貯金、有価証券、そして不動産を含む全ての相続財産を調査し、その評価額を算出します。不動産の評価は特に専門知識を要し、土地や建物の種類、所在地によって評価方法が異なります。
- 遺産分割協議:相続人が複数いる場合、誰がどの財産を相続するかを話し合う遺産分割協議を行います。この協議がまとまらないと、相続税の申告・納税が困難になることがあります。協議が成立した場合は、遺産分割協議書を作成します。
- 相続税の計算:確定した相続財産の評価額から、債務や葬式費用などを差し引き、基礎控除額を適用して課税遺産総額を算出します。その後、各相続人の相続分に応じて相続税額を計算します。
- 相続税の申告:計算した相続税額を記載した相続税申告書を、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。必要な添付書類も多岐にわたるため、事前に確認し準備しておくことが重要です。
相続税の申告に必要な主な書類は以下の通りです。
| 書類の種類 | 内容 |
|---|---|
| 相続税申告書 | 税務署のウェブサイトや窓口で入手可能 |
| 被相続人の戸籍謄本 | 出生から死亡までの連続したもの |
| 相続人全員の戸籍謄本 | |
| 被相続人の住民票除票 | |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 遺産分割協議書に押印したもの |
| 遺言書または遺産分割協議書 | 遺産分割方法が記載されたもの |
| 不動産の登記事項証明書 | 法務局で取得 |
| 固定資産税評価証明書 | 市町村役場で取得 |
| 預貯金残高証明書 | 金融機関で取得 |
| 有価証券残高証明書 | 証券会社で取得 |
| 生命保険金支払通知書 | 保険会社から送付 |
| 債務に関する書類 | 借入金の残高証明書など |
| 葬式費用の領収書 |
これらの書類はあくまで一般的なものであり、個別のケースによっては追加の書類が必要になることもあります。
4.2 納税方法の選択と資金計画
相続税の納税は、原則として金銭による一括納付です。しかし、相続財産に占める不動産の割合が高い場合など、現金での一括納付が困難なケースも少なくありません。そのような場合のために、延納や物納といった特例的な納税方法が用意されています。
4.2.1 延納(えんのう)
延納とは、相続税を分割して支払う制度です。以下の条件を全て満たす場合に申請が可能です。
- 相続税額が10万円を超えること。
- 金銭で納付することを困難とする事由があること。
- 担保を提供すること(延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は不要)。
- 延納申請書および担保提供関係書類を提出すること。
延納を選択した場合、利子税が発生する点に注意が必要です。利子税の割合は、延納期間や担保の種類によって異なります。延納期間は最長20年まで認められることがありますが、相続財産の内容によって変動します。
4.2.2 物納(ぶつのう)
物納とは、相続税を金銭の代わりに相続財産(不動産、有価証券など)で納める制度です。延納によっても金銭で納税することが困難な場合に、最終手段として検討されます。物納には非常に厳しい要件が課せられており、全ての相続財産が物納の対象となるわけではありません。特に不動産を物納する場合、管理処分が容易であることなど、国税庁が定める基準を満たす必要があります。
物納の条件は以下の通りです。
- 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があること。
- 物納に充てようとする財産が、物納適格財産であること。
- 物納劣後財産に該当しないこと。
- 物納申請書および物納財産に関する書類を提出すること。
物納は手続きが複雑で時間もかかり、また税務署との交渉が必要となるケースも多いため、専門家のサポートが不可欠です。物納が認められなかった場合、延滞税が発生するリスクも考慮しなければなりません。
4.2.3 納税のための資金計画
相続税の納税は、相続発生後10ヶ月以内という短い期間で多額の資金が必要となる場合があります。そのため、生前のうちから相続税対策の一環として資金計画を立てておくことが非常に重要です。具体的には、生命保険の活用や、不動産の流動性を高めるための対策などが挙げられます。
4.3 税理士への相談が不可欠なケース
相続税の申告・納税は、専門知識を要する複雑な手続きであり、特に不動産が絡む場合はその評価や特例の適用において高度な判断が求められます。以下のケースに該当する場合は、税理士への相談が不可欠と言えるでしょう。
- 相続財産に不動産が多く含まれる場合:土地の評価は路線価方式や倍率方式などがあり、その適用や補正には専門的な知識が必要です。また、広大地評価や小規模宅地等の特例の適用など、税額を大きく左右する要素が多いため、不動産評価に強い税理士に依頼することで適正な評価と節税が期待できます。
- 相続人が複数いて遺産分割協議が難航している場合:遺産分割協議は相続税の計算に直結するため、税理士が税務の観点からアドバイスを行うことで、円滑な協議の成立を支援できます。
- 相続税の節税対策を最大限に活用したい場合:配偶者控除や小規模宅地等の特例、農地の納税猶予など、様々な節税特例がありますが、その適用条件は複雑です。これらの特例を適切に適用し、合法的に税負担を軽減するためには、専門家である税理士の知識と経験が不可欠です。
- 相続財産の総額が高額になる場合:相続財産が高額になるほど、相続税額も大きくなり、税務調査のリスクも高まります。税理士に依頼することで、正確な申告を行い、税務調査への対応もスムーズに進めることができます。
- 相続発生から申告までの期間が短い場合や、相続人が多忙な場合:相続税の申告期限は10ヶ月と短く、多岐にわたる書類の収集や手続きには多くの時間と労力がかかります。税理士に依頼することで、これらの手続きを代行してもらい、精神的・時間的な負担を軽減できます。
- 物納や延納を検討している場合:これらの納税方法は非常に要件が厳しく、手続きも複雑です。税理士は物納や延納の可否判断、申請書類の作成、税務署との交渉などをサポートし、納税を円滑に進めるための重要な役割を担います。
税理士に相談することで、適切な相続税評価、節税対策の提案、申告書作成、税務署との折衝など、多岐にわたるサポートを受けることができます。初回無料相談を実施している税理士事務所も多いため、まずは気軽に相談してみることをお勧めします。
5. まとめ
不動産相続税は、その評価方法や税率の仕組みが複雑であり、多くの方が不安を感じるテーマです。しかし、本記事で解説したように、相続税の基礎知識、土地や建物の評価方法、そして配偶者控除や小規模宅地等の特例といった効果的な節税策を事前に理解し、適切に活用することで、納税額を大きく抑えることが可能です。相続発生前から専門家である税理士に相談し、計画的に準備を進めることが、賢い不動産相続を実現するための最も重要な鍵となります。適切な知識と準備で、安心して相続に臨みましょう。

