司法書士が教える!不動産相続で失敗しないための費用相場と賢い選び方

不動産相続では、司法書士費用や手続きの複雑さに不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、不動産相続における司法書士費用の全体像を、報酬相場から実費の内訳まで明確に解説します。さらに、無駄な出費を避け、最適な選択ができるよう、賢い司法書士の選び方と費用を最適化する具体策を徹底解説。本記事を読めば、費用に関する不安が解消され、失敗しない不動産相続を実現するための最適な選択ができるようになります。正しい知識と準備で、安心して手続きを進めましょう。

目次

1. 不動産相続における司法書士費用の全体像

不動産相続では、故人から受け継いだ不動産の名義を相続人に変更する「相続登記」が不可欠です。この手続きを司法書士に依頼する際にかかる費用は、大きく分けて司法書士への報酬と、登記手続きに必要な実費の二つがあります。費用を正確に把握し、無駄なく手続きを進めるためには、それぞれの構成要素と相場を理解することが重要です。

1.1 司法書士報酬の構成要素と平均相場

司法書士に不動産相続登記を依頼する際の報酬は、司法書士事務所によって異なりますが、一般的には5万円から15万円程度が相場とされています。複雑な案件や、複数の不動産を相続する場合、相続人の数が多い場合などには、15万円を超えるケースもあります。報酬の構成要素としては、主に以下の項目が挙げられます。

  • 相続登記申請手続きの基本報酬:不動産の名義変更手続きの代行費用です。
  • 遺産分割協議書作成費用:遺産分割協議が成立した場合に、その内容を法的に有効な書面として作成する費用です。
  • 相続関係説明図作成費用:相続関係を一覧で示す図を作成する費用です。
  • 戸籍謄本等収集代行費用:相続人を確定するために必要な戸籍謄本や除籍謄本などの収集を代行する費用です。
  • 登記情報取得費用:不動産の登記情報を取得する費用です。
  • 遠方出張費用:遠隔地の不動産や相続人に関する手続きで出張が必要な場合に発生する費用です。

司法書士報酬の相場は、依頼する業務の範囲や不動産の数、相続関係の複雑さによって変動します。多くの司法書士事務所では、相続登記の基本報酬のほかに、上記のような付帯業務を個別の費用として設定していることがあります。見積もりを取る際には、これらの項目がどこまで含まれているかを確認することが大切です。

以下に、主な司法書士報酬の目安をまとめました。

業務内容 報酬の目安
相続登記申請手続き(基本報酬) 5万円~15万円程度
遺産分割協議書作成 数万円~
戸籍謄本等収集代行 1通あたり数百円~数千円(または一式で数万円)
相続関係説明図作成 数千円~1万円程度

司法書士報酬は自由化されているため、事務所によって料金体系や金額に差があります。そのため、複数の事務所から見積もりを取り、比較検討することが賢い司法書士選びの第一歩となります。

1.2 不動産相続登記に必要な実費について

不動産相続登記には、司法書士への報酬とは別に、必ず発生する実費があります。これらの実費は、司法書士に依頼した場合でも、自分で手続きを行う場合でも必要となる費用です。主な実費は以下の通りです。

  • 登録免許税:相続登記を行う際に国に納める税金です。
  • 必要書類の取得費用:戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書などの取得にかかる費用です。
  • 郵送費・交通費:書類のやり取りや法務局への移動にかかる費用です。

1.2.1 登録免許税の計算方法と免税措置

登録免許税は、不動産の固定資産税評価額に税率0.4%を乗じて算出されます。 計算例としては、固定資産税評価額が1,000万円の不動産の場合、1,000万円 × 0.4% = 4万円となります。 なお、計算した額に100円未満の端数がある場合は切り捨てられます。

登録免許税には、特定の条件を満たす場合に免税措置が適用されることがあります。例えば、不動産の価額が100万円以下の土地については、登録免許税が免除される場合があります(令和9年3月31日までの時限措置)。 また、相続登記をしないまま亡くなった方の相続人が、亡くなった方を登記名義人とする相続登記をする場合にも免税措置が適用されることがあります。 免税措置の適用を受けるためには、登記申請書にその旨を明記する必要があります。

1.2.2 必要書類の取得費用

相続登記には、被相続人や相続人に関する様々な公的書類が必要です。これらの書類の取得には手数料がかかります。

書類の種類 取得費用(目安)
戸籍謄本(現在戸籍) 1通 450円
除籍謄本・改製原戸籍謄本 1通 750円
住民票・住民票の除票 1通 200円~400円程度(自治体により異なる)
印鑑登録証明書 1通 数百円程度(自治体により異なる)
固定資産評価証明書 1通 300円程度
登記事項証明書(登記簿謄本) 1通 600円

相続人の数が多い場合や、被相続人が複数回転籍している場合などは、取得する戸籍謄本の数が多くなり、その分費用も高くなる傾向があります。 必要書類の取得費用は、一般的に5,000円から3万円程度が目安とされています。

1.2.3 郵送費・交通費などその他の実費

書類の郵送や、遠隔地の役所・法務局への交通費なども実費として発生します。司法書士に依頼した場合でも、これらの費用は別途請求されることがあります。

1.3 費用を抑えるための準備と注意点

不動産相続登記にかかる費用を抑えるためには、依頼する側が事前に準備できることや、司法書士選びの際に注意すべき点があります。

  • 必要書類の自己収集:戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書など、自分で取得できる書類は可能な限り集めておくことで、司法書士の代行費用を削減できます。
  • 遺産分割協議書の作成協力:司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼する場合でも、事前に相続人全員で協議内容をまとめておくなど、協力することで費用を抑えられる可能性があります。
  • 無料相談の活用:多くの司法書士事務所では初回無料相談を実施しています。これを活用し、費用の見積もりや手続きの流れについて事前に確認しましょう。
  • 相見積もりの取得:複数の司法書士事務所から見積もりを取り、報酬体系やサービス内容を比較検討することで、適正な費用で依頼できる事務所を見つけやすくなります。
  • 費用内訳の確認:見積もりを受け取ったら、司法書士報酬と実費の内訳が明確になっているかを確認しましょう。不明な点があれば、納得がいくまで質問することが重要です。

ただし、費用を抑えることばかりに注力し、安さだけで司法書士を選ぶことは避けるべきです。手続きの正確性や迅速性、そして司法書士との信頼関係も重要な要素となります。

2. 賢い司法書士の選び方で不動産相続の費用を最適化

不動産相続における司法書士費用は、依頼する司法書士によって大きく異なります。費用を最適化し、安心して手続きを進めるためには、料金体系の透明性、専門性、そして信頼できる人柄を見極めることが重要です。また、ご自身の状況に合った司法書士を選ぶことで、無駄な出費を抑え、スムーズな相続手続きを実現できます。

2.1 料金体系が明確な司法書士の探し方

不動産相続の司法書士費用は、その内訳が複雑に感じられることも少なくありません。後々のトラブルを避けるためにも、料金体系が明確な司法書士を選ぶことが非常に重要です。

まず、司法書士のウェブサイトやパンフレットで、報酬規定が明示されているかを確認しましょう。多くの司法書士事務所では、相続登記の基本報酬、遺産分割協議書作成費用、その他実費(登録免許税、戸籍謄本取得費用など)について、具体的な金額や計算方法を提示しています。「一式」といった曖昧な表現ではなく、項目ごとに詳細な内訳が示されている事務所を選ぶことが賢明です。

初回の無料相談を利用して、必ず見積もり書を請求しましょう。見積もり書には、司法書士報酬だけでなく、登録免許税や印紙代、郵送費などの実費もすべて含めて提示してもらうことが大切です。また、追加費用が発生する可能性のあるケースや、その際の費用についても事前に確認しておくことで、予期せぬ出費を防ぐことができます。

料金体系には、主に以下の種類があります。

料金体系の種類 特徴 メリット デメリット
定額制(基本報酬) 相続登記など、特定の業務に対してあらかじめ決められた料金。 費用の総額が事前に分かりやすい。 複雑なケースでは割高になる可能性もある。
時間制(タイムチャージ) 業務に要した時間に応じて料金が発生する。 業務の範囲が不明確な場合や、相談業務に適している。 最終的な費用が読みにくい。
成功報酬制 業務の成功に応じて料金が発生する。不動産相続登記では一般的ではない。 依頼者のリスクが低い。 成功の定義や報酬割合の合意が必要。

多くの司法書士事務所では、相続登記に関しては定額制の基本報酬を設け、それに加えて取得する書類の数や不動産の筆数などに応じて加算される形式が一般的です。これらの費用項目をしっかりと理解し、複数の事務所から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

2.2 相談対応でわかる司法書士の専門性と人柄

司法書士選びにおいて、料金体系の明確さと同じくらい重要なのが、相談時の対応から見えてくる専門性と人柄です。相続は人生において何度も経験することではないため、不安や疑問が多く、信頼できる専門家を見つけることが精神的な負担を軽減する上で不可欠です。

無料相談や初回相談の機会を利用して、以下の点をチェックしましょう。

2.2.1 専門性の見極め方

  • 説明の分かりやすさ:専門用語を多用せず、不動産相続登記の手続きや必要な書類、費用について、素人にも理解できるように丁寧に説明してくれるか。
  • 質問への的確な回答:相続に関する具体的な質問に対し、曖昧な返答ではなく、根拠に基づいた明確な回答が得られるか。
  • 実績と経験:不動産相続の経験が豊富であるか。特に、複雑なケース(共有名義不動産、数次相続など)の対応実績があるか。
  • 問題解決への提案力:単に手続きを代行するだけでなく、依頼者の状況に応じた最適な解決策やアドバイスを提案してくれるか。

2.2.2 人柄の見極め方

  • 傾聴の姿勢:依頼者の話を遮らず、親身になって耳を傾けてくれるか。
  • コミュニケーション能力:質問しやすく、安心して相談できる雰囲気を作ってくれるか。連絡の頻度や方法についても確認しておくと良いでしょう。
  • 信頼感:高圧的な態度ではないか、こちらの不安に寄り添ってくれるか。
  • 迅速な対応:問い合わせに対する返答が速いか。これは、その後の業務の進め方にも影響します。

相続手続きは、故人の大切な財産を扱うデリケートなものです。専門知識はもちろんのこと、依頼者の気持ちに寄り添い、円滑なコミュニケーションが取れる司法書士を選ぶことが、後悔しないための重要なポイントとなります。

2.3 地域密着型と全国対応型司法書士の比較

司法書士事務所は、その活動範囲によって大きく「地域密着型」と「全国対応型」に分けられます。それぞれに特徴があり、ご自身の不動産相続の状況に合わせて選ぶことが、費用の最適化と手続きのスムーズさに繋がります。

タイプ 特徴 メリット デメリット こんな方におすすめ
地域密着型 特定の地域(市区町村や都道府県)に拠点を置き、その地域内の依頼を中心に受ける。
  • 地元の法務局や役所の慣習に詳しい。
  • 対面での相談がしやすく、きめ細やかな対応が期待できる。
  • 地域コミュニティとの繋がりが強く、情報収集がしやすい場合がある。
  • 遠隔地の不動産相続には対応が難しい場合がある。
  • 事務所によっては、対応できる案件の規模や種類に限りがあることも。
  • 相続する不動産が司法書士事務所の近くにある方。
  • 対面での丁寧なコミュニケーションを重視したい方。
  • 地元の情報に強い専門家を求める方。
全国対応型 インターネットや郵送、電話などを活用し、全国各地からの依頼に対応する。複数の拠点を持つ場合もある。
  • 遠隔地の不動産や、複数の都道府県にまたがる不動産の相続にも対応可能。
  • オンライン相談や手続きに慣れており、時間や場所の制約が少ない
  • 大規模な事務所が多く、多様な相続案件の経験が豊富。
  • 対面でのきめ細やかな相談が難しい場合がある。
  • 地元の法務局の細かな慣習には詳しくない可能性がある。
  • 相続する不動産が遠隔地にある、または複数の地域に点在している方。
  • オンラインでの手続きや相談に抵抗がない方。
  • 事務所の規模や実績を重視したい方。

どちらのタイプを選ぶかは、ご自身の相続する不動産の所在地、希望する相談形式、そして司法書士に求めるサービス内容によって異なります。「相続する不動産がどこにあるか」「どのような方法でコミュニケーションを取りたいか」を明確にした上で、最適な司法書士を選ぶようにしましょう。

3. 不動産相続手続きを司法書士に依頼する具体的な内容

不動産相続において、司法書士に依頼できる手続きは多岐にわたります。ここでは、特に重要な「名義変更登記」「遺産分割協議書作成」「相続放棄や限定承認」の3つの手続きについて、その具体的な内容と司法書士が果たす役割を詳しく解説します。司法書士の専門知識を活用することで、手続きの漏れや不備を防ぎ、スムーズな相続を実現できます。

3.1 名義変更登記の手続きと必要書類

不動産を相続した場合、故人から相続人へ所有権を移転する「相続登記(名義変更登記)」が必要です。この手続きは、不動産の所有者が誰であるかを公的に示すために不可欠であり、怠ると将来的な売却や担保設定ができないといった不利益が生じる可能性があります。司法書士は、この複雑な登記手続きを正確かつ迅速に進めるための専門家です。

司法書士に依頼することで、以下の具体的なサポートが受けられます。

  • 登記申請書の作成
  • 必要書類の収集代行
  • 法務局への申請代理
  • 登記完了後の登記識別情報通知書(権利証)の確認・受領

特に、必要書類の収集は多岐にわたり、戸籍謄本や住民票などの公的書類は、相続関係が複雑な場合や、古い戸籍を遡る必要がある場合に、多くの時間と手間を要します。司法書士はこれらの書類収集を代行し、不備なく揃えることで、手続きの遅延を防ぎます。

相続登記に必要な主な書類は以下の通りです。

書類の種類 備考
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 相続人を確定するために必要です。
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 登記簿上の住所と一致しているか確認するために必要です。
相続人全員の戸籍謄本 相続人であることを証明するために必要です。
不動産を相続する人の住民票 新しい登記名義人の住所を証明するために必要です。
不動産を相続する人の印鑑証明書 遺産分割協議書に実印を押印する場合などに必要です。
固定資産評価証明書 登録免許税の算出に必要です。市町村役場で取得します。
遺産分割協議書(遺言書がない場合) 相続人全員で遺産の分割方法を合意したことを証明します。
遺言書(遺言書がある場合) 遺言の内容に基づいて登記を行います。

これらの書類は、相続の状況(遺言の有無、法定相続分通りか、遺産分割協議を行ったかなど)によって異なる場合があります。司法書士は個別のケースに応じて、必要な書類を正確に判断し、リストアップ、さらには取得代行まで行うことができます。

3.2 遺産分割協議書作成のサポート

遺言書がない場合や、遺言書があっても記載されていない財産がある場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必要となります。この協議で合意した内容を文書化したものが「遺産分割協議書」です。遺産分割協議書は、不動産の名義変更登記だけでなく、預貯金の解約や自動車の名義変更など、様々な相続手続きで必要となる重要な書類です。

司法書士は、遺産分割協議書の作成において、以下の点で専門的なサポートを提供します。

  • 法的に有効な遺産分割協議書の作成:記載すべき事項の漏れがないか、表現に曖昧な点がないかなどをチェックし、後々のトラブルを未然に防ぎます。
  • 相続関係図の作成:複雑な相続関係を整理し、誰が相続人であるかを明確にします。
  • 財産目録の作成:相続財産の種類や評価額を正確に把握し、遺産分割協議の基礎資料とします。
  • 協議内容の調整に関するアドバイス:相続人間の意見が対立した場合、中立的な立場から法的な観点に基づいたアドバイスを行うことも可能です。

遺産分割協議書は、相続人全員が署名・押印(実印)し、印鑑証明書を添付することで効力を持ちます。不適切な内容や形式で作成された場合、後から無効とされたり、新たな争いの原因となったりするリスクがあります。司法書士に依頼することで、これらのリスクを回避し、相続人全員が納得できる形で手続きを進めることができます。

3.3 相続放棄や限定承認の相談

相続は、必ずしもプラスの財産ばかりではありません。借金や保証債務など、マイナスの財産(負債)がプラスの財産を上回る場合もあります。このような場合に検討されるのが「相続放棄」や「限定承認」です。

3.3.1 相続放棄

相続放棄とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないという意思表示を家庭裁判所に行う手続きです。相続放棄が認められると、その人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。これにより、被相続人の借金を背負う心配がなくなります。

相続放棄には、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という厳格な期限があります。この期間内に手続きを行わないと、単純承認(プラスもマイナスもすべて相続すること)したとみなされてしまうため、注意が必要です。

司法書士は、相続放棄の手続きにおいて以下のサポートを行います。

  • 家庭裁判所へ提出する申述書の作成
  • 必要書類の収集(戸籍謄本など)
  • 申述書の提出代理
  • 照会書への回答に関するアドバイス

特に、3ヶ月の熟慮期間内にすべての状況を把握し、正確な書類を作成して提出することは、一般の方には大きな負担となります。司法書士は、迅速かつ的確な手続きをサポートし、期限の徒過による不利益を防ぎます。

3.3.2 限定承認

限定承認とは、被相続人のプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産(借金など)を弁済するという相続方法です。プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか不明な場合や、プラスの財産は相続したいが、借金は負いたくないといった場合に有効な手段です。

限定承認も相続放棄と同様に、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。また、相続人全員が共同で申述しなければならないという特徴があります。

司法書士は、限定承認の手続きにおいても、申述書の作成や必要書類の収集、家庭裁判所とのやり取りなど、複雑な手続き全般をサポートします。限定承認は、相続放棄よりも手続きが複雑であり、専門的な知識が不可欠であるため、司法書士への依頼が強く推奨されます。

相続放棄や限定承認の判断は、相続財産の内容や相続人の状況によって大きく異なります。司法書士は、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、最も適切な相続方法を提案するとともに、その手続きを最後までサポートします。

4. 不動産相続の費用に関するよくある疑問を解決

4.1 追加費用が発生するケースとその対策

不動産相続の手続きを進める中で、当初の見積もりには含まれていなかった追加費用が発生するケースがあります。これらの費用は、手続きの複雑性や予期せぬ問題の発生によって生じることが多いため、事前にその可能性を理解し、対策を講じることが重要です。

4.1.1 追加費用が発生しやすい具体的なケース

  • 相続人の調査に時間を要する場合:戸籍謄本の収集が複雑で、複数の市区町村にまたがる場合や、代襲相続、数次相続が発生している場合など、相続関係の確定に通常以上の手間がかかると、追加の調査費用が発生することがあります。
  • 不動産の評価や測量が必要な場合:相続する不動産の境界が不明確な場合や、土地の形状が複雑で正確な評価が難しい場合、測量士による測量や不動産鑑定士による評価が必要となり、その費用が加算されます。
  • 遺産分割協議が難航した場合:相続人同士で遺産分割に関する意見の相違があり、協議が長引いたり、家庭裁判所での調停や審判に発展したりすると、司法書士の関与時間が増え、追加の報酬が発生する可能性があります。
  • 相続財産が多数・広範囲にわたる場合:複数の不動産を相続する場合や、遠隔地にある不動産が含まれる場合、登記申請の手間が増えるため、追加費用や出張費用が発生することがあります。
  • 書類の再取得や訂正が必要な場合:提出書類に不備があったり、有効期限が切れていたりする場合、書類の再取得費用や、それに伴う司法書士の作業費用が発生します。

4.1.2 追加費用を抑えるための対策

  • 事前の情報収集と整理:相続関係図をできる限り作成し、相続財産(特に不動産)の所在地や権利関係を把握しておくことで、司法書士がスムーズに手続きを進められます。
  • 詳細な見積もりの確認:依頼する前に、司法書士から費用の内訳を詳細に確認し、どのような場合に別途費用が発生するのか、その目安についても説明を受けるようにしましょう。
  • 契約内容の明確化:司法書士との契約時に、業務範囲や追加費用の発生条件、上限額などを書面で明確にしておくことがトラブル防止につながります。
  • 複数の司法書士から見積もりを取る:複数の事務所から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することで、適正価格を把握しやすくなります。

4.2 自分で手続きする場合と司法書士に依頼する場合の比較

不動産相続の手続きは、専門家である司法書士に依頼する方法と、ご自身で全ての手続きを行う方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合った選択をすることが重要です。

項目 自分で手続きする場合 司法書士に依頼する場合
費用 司法書士報酬は発生しないため、実費のみで済む。 司法書士報酬と実費がかかる。
専門知識 民法や不動産登記法に関する専門知識が必要 司法書士が専門知識に基づいて手続きを行う。
時間と手間 書類収集、作成、法務局への申請など、多くの時間と手間がかかる。平日の日中に役所や法務局へ行く必要がある。 書類収集の指示、作成代行、申請代行など、司法書士がほとんどの手続きを行うため、時間と手間を大幅に削減できる。
正確性・確実性 不慣れな手続きのため、誤りや不備による登記却下のリスクがある。 専門家による正確な手続きで、登記却下のリスクが低い。法的なトラブルを未然に防げる。
精神的負担 複雑な手続きや専門用語の理解、役所とのやり取りなど、大きな精神的負担がかかる。 専門家が代行するため、精神的負担が軽減される。
トラブル対応 手続き中に問題が発生した場合、自身で解決する必要がある 問題が発生した場合も、司法書士が専門知識に基づいて対応してくれる。

相続手続きに慣れていない方や、時間的な余裕がない方、手続きの正確性を重視したい方は、司法書士への依頼を検討することをおすすめします。費用はかかりますが、その分、安心と確実性を得られるでしょう。

4.3 相続税と司法書士費用の関係

不動産相続では、司法書士費用だけでなく、相続税についても考慮する必要があります。これら二つの費用は直接的な関係が薄いように見えますが、相続手続き全体の中で密接に関連する場面もあります。

4.3.1 司法書士費用は相続税の控除対象となるか

相続税の計算において、被相続人の債務や葬式費用などは相続財産から控除することができます。しかし、司法書士に支払う報酬(不動産登記費用)は、原則として相続税の計算上の債務控除の対象とはなりません

これは、不動産登記にかかる費用が、相続財産の取得後に発生する費用とみなされるためです。ただし、遺産分割協議書の作成費用など、相続財産の管理・処分に必要な費用の一部は、相続税法上の特定の条件を満たせば控除対象となる場合があります。この判断は複雑であるため、必ず税理士に相談し、具体的な状況に基づいて確認するようにしてください。

4.3.2 相続税申告と司法書士手続きの関連性

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。この期限内に相続税の申告と納税を完了しなければなりません。一方、不動産の名義変更登記(相続登記)には、現在、明確な期限は設けられていません(ただし、2024年4月1日からは相続登記の申請が義務化され、期限が設けられる予定です)。

相続登記自体は相続税の申告期限と直接の関係はありませんが、遺産分割が確定しないと相続税の申告ができないケースがあります。例えば、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減といった特例を適用するためには、誰がどの財産を相続するかを明確にする必要があるため、遺産分割協議書の作成が不可欠です。

このような場合、司法書士による遺産分割協議書作成のサポートは、相続税の申告期限に間に合わせる上で重要な役割を果たすことになります。司法書士と税理士が連携することで、相続税申告と相続登記の両方をスムーズかつ正確に進めることが可能になります。

相続税に関する詳細な情報は、国税庁のウェブサイト(国税庁)で確認できます。また、相続税に関する具体的な相談は、税理士にご依頼ください。

5. まとめ

不動産相続における司法書士費用は、その内訳や相場を事前に理解することが重要です。報酬体系が明確で、専門性はもちろん、親身な対応をしてくれる司法書士を選ぶことで、費用対効果の高いサポートを受けられます。相続手続きは複雑であり、ご自身で全てを行うには時間と労力がかかります。専門家である司法書士に依頼することで、煩雑な手続きから解放され、法的なリスクを回避し、安心してスムーズな相続を実現できるでしょう。賢い選択が、円満な相続への第一歩となります。

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