住宅ローン返済中に家を手放したい人向け完全ガイド
住宅ローンの返済がまだ残っていても、家を手放す方法はいくつか存在します。本記事では、抵当権の扱いやオーバーローンの対処法、理由別の注意点などを網羅的に解説します。
住まいの売却や住み替えを検討するうえで知っておきたいポイントや費用面の基礎知識を押さえ、失敗を避けるための指針を提供します。ぜひ最後までご覧ください。
そもそも住宅ローンが残っていても家は売れるの?
住宅ローンの残債がある場合でも家を売ることは可能です。ただし、売却額で住宅ローンを完済する・抵当権を抹消するなど、一定の手続きを理解する必要があります。
住宅ローン返済中の家を売る際には、まず不動産会社に査定を依頼して売却可能な価格帯を把握することが重要です。査定価格と残債を比較することで、売却の方向性が見えてきます。特に市場相場や地域の需要状況によって売却価格は変動するため、複数の不動産会社から査定を取ると参考になります。
売却金額が住宅ローンの残債よりも上回れば、アンダーローンと判断でき、一般的な売却でスムーズに完済可能です。一方で、オーバーローンの場合は金融機関との交渉が必要になる場合があります。金融機関が同意すれば任意売却を選択することもできます。
抵当権を抹消するには住宅ローンを完済する、または担保としての役割を金融機関が解放することが必要です。残債を確実に処理しつつ、費用や手続きのスケジュールを考えながら進めることで、より安心して売却活動を続けられます。
抵当権の基礎知識と抹消に必要な手続き
家を売却する際に欠かせないのが、抵当権の存在を正しく理解し、抹消手続きを進めることです。まずは抵当権の役割を押さえ、スムーズに抹消するための注意点を把握しましょう。
抵当権とは、金融機関がローンの貸し倒れリスクを回避するために、物件を担保として設定する権利のことです。もし返済が滞った場合、金融機関は抵当権を行使して家を競売にかけることができます。
家を売却する際には、この抵当権を抹消しなければ正式に買主へ引き渡すことができません。通常は、売却益や自己資金でローンを完済し、金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取ります。
抹消には法務局での登記手続きが必要となり、申請書や金融機関からの書類などをそろえて行います。数千円程度の登録免許税の支払いが必要になる場合もありますので、費用の準備やスケジュールの把握が大切です。
抵当権が設定される理由とは?
住宅ローンは高額な融資となるため、金融機関は万一のリスクに備えて担保を要求します。それが抵当権の設定です。ローン契約者が返済できなくなった場合、金融機関は民事執行手続きによって抵当権を行使し、競売の売却金で貸付を回収する仕組みになっています。
このシステムにより、金融機関は低金利で融資を行いやすくなり、私たち利用者も住宅購入の資金を借りやすくなっています。ただし、返済が滞ると物件を失うリスクがある点は十分に理解する必要があります。
抵当権はローン完済や抹消手続きが行われるまで登記簿に残るため、家の売却や物件の所有権移転時には必ず確認と手続きを行うことが求められます。
売却時に必須となる抵当権抹消の手順
住宅ローン残債を一括返済した後、金融機関は抵当権抹消に必要な書類を発行します。一般的には抵当権抹消書類は融資先の銀行で受け取り、印鑑証明書などと併せて法務局へ提出します。
法務局では、登記申請書と一緒に書類を窓口またはオンラインで申請し、登録免許税を支払えば抹消手続きが完了します。登録免許税は物件の評価額等をもとに計算されますが、比較的少額です。
売買契約の時点で抹消が完了していることが望ましいため、スケジュール管理をしっかり行うことが重要です。必要書類の取り寄せ期間や休日を踏まえて早めに準備しておけば、売却手続きが円滑に進むでしょう。
アンダーローンかオーバーローンかを見極める方法
残債と売却価格のバランスによって、売却の進め方は大きく変わります。まずは、アンダーローンかオーバーローンかを正確に把握しましょう。
アンダーローンとは、売却によって得られる金額が住宅ローンの残債を上回る状況を指します。逆にオーバーローンは、売却価格よりもローン残高が多い状態です。どちらに該当するかを見極めることで、売却方法の選択がスムーズにできます。
最初のステップとして、金融機関からローンの返済予定表や残高証明を取り寄せ、事前に正確な残債を把握します。同時に、不動産会社に査定依頼し、物件価値を確認することがおすすめです。これにより、市場価格とのギャップを知ることができます。
アンダーローンの場合は通常の売却手続きが可能ですが、オーバーローンの場合は金融機関との交渉や自己資金の拠出が必要となるケースがあります。リスクや返済能力を考慮しながら、計画的に売却を進めましょう。
残債と査定価格からローン状況を確認する手順
金融機関で現在のローン残額を確認し、不動産会社に査定を依頼して家の売却相場を把握します。2社以上の査定を取ると適正価格がわかりやすくなるため、有効な方法です。
売却にかかる仲介手数料や諸経費も含めて、どのくらい手残りがあるのかを試算すると、正確なアンダーローン・オーバーローンの判断が可能です。
もし査定価格が不明確な場合や地域の市場が読みにくい場合は、複数の情報源を活用して相場を把握し、慎重にシミュレーションを行うことが大切です。
アンダーローンなら通常の売却がスムーズ
売却金額で住宅ローンを完済できるアンダーローン状態であれば、抵当権抹消などの基本手続きを踏むだけで売却可能です。金融機関との複雑な調整や追加借り入れも必要ないため、比較的スピーディーに手続きを進められます。
アンダーローンの場合は残債を完済した上で、手元資金を次の住み替え資金や予備費用に充てやすいメリットもあります。新たな住居へのリスクを抑えながら、計画的に進められる点が魅力です。
もし売却活動が長引いてしまっても、過大な残債リスクを抱えにくいのがアンダーローンの特徴です。売却のタイミングを柔軟に決められるので、より有利な価格設定を目指すことも期待できます。
オーバーローンの場合に検討すべき3つの選択肢
査定価格が残債を下回るオーバーローン状態のときは、いくつかの方法で対処することが可能です。自己資金の投入や住み替えローンなど、それぞれの特徴を整理しておきましょう。
オーバーローンになると、家の売却価格だけでローンを完済できないため、追加の資金相談が必要になります。金融機関と協議の上、任意売却という特別な手段を選択するケースもありますが、自己資金を補填できる場合はその方法がシンプルです。
次の住まいの購入を同時に考えているなら、住み替えローンを検討してみましょう。一括で借り入れできるため、時間的なロスを抑えられるメリットがありますが、金利条件や返済負担をよく検証する必要があります。
オーバーローン状態では、早めに売却への方向性を定めることが肝心です。売却が長期化すると、毎月の返済負担が重くなり金融機関との交渉も難航する可能性があります。余裕を持って行動しましょう。
方法①:自己資金で差額を補填して完済
売却価格が残債に届かない場合に、手持ちの貯蓄や親族からの援助で不足分を補い、先にローンを完済してしまう方法です。抵当権を確実に抹消できるため、買主も安心して購入できるのが大きな利点です。
自己資金に余裕がある人には、最もシンプルで時間のかからない手段といえます。ただし、手持ちの資金を大きく使うことになるため、今後の生活設計や他の投資計画を考慮しながら決定する必要があります。
ローンを完済すれば信用情報への影響も最小限で済みます。スムーズな売却活動を望む場合は第一の選択肢として検討してみると良いでしょう。
方法②:住み替えローンで売却+新居購入を同時に進める
住み替えローンは、売却先行や新居購入を効率よく進めたい場合に適した方法です。残債分と新居取得費用をまとめて借りられるため、売りと購入のタイミングを合わせやすくなります。
反面、オーバーローンの分も含めて借りることになるため、支払い総額が大きくなるリスクがあります。金利や返済期間などの条件次第で総返済額が大きく異なるため、複数の金融機関を比較して最適プランを選ぶことが大切です。
住み替えローンの審査は普通の住宅ローンよりも厳しいことがあります。収入や資産状況、物件評価を慎重に見られるため、事前に信頼できる金融機関と相談しておきましょう。
方法③:金融機関と交渉して任意売却を行う
オーバーローンで返済が困難な場合、金融機関の同意のもと、市場価格で物件を売る任意売却という選択肢があります。競売へ移行する前に売却するため、相場に近い価格で売れる可能性があり、借主・貸主どちらにもメリットがあります。
任意売却には専門的な知識や手続きが必要で、通常の売却よりも手続きが複雑化することがあります。信用情報に影響が出る可能性や、売却後も残債が残るリスクを考慮しておくべきです。
ただし、競売よりも高値を狙える分、結果的に残債を減らしやすい利点があります。金融機関とのコミュニケーションを密にし、今後の返済プランも含めて早めに相談することが望ましいです。
家を手放す主な理由別に見る注意点
家を売る理由は多岐にわたりますが、離婚や買い替えといった背景によって押さえるべきポイントが異なります。各状況での留意点を確認しましょう。
理由によっては家の名義変更や共有名義の取り扱いが複雑になることがあります。離婚や転勤といったライフステージの変化に合わせて、どのように住宅ローンを処理するか事前に検討しておくことが重要です。
家を売るときに受け取る売却金をどのように分配するかも、家族構成や借入状況によって異なります。契約を進める前に、相手方の意向や将来のライフプランも考慮しながら協議することをおすすめします。
賃貸として貸し出す選択肢もありますが、ローン契約上の制約や、賃貸に適した立地・物件条件を満たすかを十分に確認しましょう。手続き面だけでなく、マイナス面も踏まえた総合的な判断が必要です。
離婚で家を売る際に押さえておきたい名義とローン負担の整理
共有名義の場合、財産分与の観点から誰がどの程度の持分をもっているのか明確にし、売却後の利益配分を決定しておく必要があります。再契約や名義変更になる場合は、金融機関の承諾も必須です。
連帯保証人がいるケースでは、離婚後も保証人としての責任が残ることがあるため、担保解除の手続きや別の保証人を立てることを検討する必要があります。
離婚に伴い売却を急ぐと、希望価格よりも安値になりがちです。必要以上に焦らず、市場相場や手続きスケジュールを考慮しながら売却を進めるのが得策です。
買い替え・引越しで家を売る場合のポイント
買い替えの場合、売り先行で資金計画を明確にしてから新居購入に踏み切るのが一般的です。資金繰りを把握しやすく、二重ローンのリスクも下げられますが、一時的に仮住まいが必要となるかもしれません。
反対に買い先行では、住まいを確保してから現住居を売るため、生活の安定度は高いものの、売却が長引くと二重ローンを抱える可能性があります。自分の経済状況や売却のスピード感を見極めて進めると良いでしょう。
いずれの手段を選ぶにしても、売却時期や価格設定が適切でないと資金計画が崩れる恐れがあります。複数の不動産会社からの査定や相場調査を重ねて、余裕を持ったタイミングで売却を検討しましょう。
賃貸で貸し出す際のローン契約上の制約とリスク
住宅ローンを組んでいる物件を賃貸に出す行為は、ローン契約に違反する場合があります。多くの住宅ローンは自らが居住することを条件としているため、賃貸に切り替える際は金融機関の事前承認が必要です。
許可なく賃貸に出した場合、金利の引き上げや一括返済の請求などのリスクが伴うため、安易に進めると大きなトラブルになりかねません。法令や契約条件をよく確認しておきましょう。
賃貸経営を行うには物件の立地や入居者需要も重要です。適正な家賃で安定収益を得られるか、修繕費用や管理コストも考慮する必要があります。利益を見込みにくい場合は売却を選択する方が得策かもしれません。
費用・税金・確定申告の基礎知識
家を売却する際には、税金や諸費用の確認が欠かせません。譲渡所得税や特別控除の条件を理解し、損益が出た場合の控除制度もしっかり把握しましょう。
家を売却すると、仲介手数料や印紙税、抵当権抹消費用などの諸費用が発生します。さらに、譲渡所得が発生した場合には譲渡所得税の支払いが必要となります。売却益の試算とあわせて、これらの費用も予算に組み込んでおくと安心です。
譲渡所得は売却価格から取得費や譲渡費用などを差し引いて算出しますが、居住用財産の場合は3,000万円の特別控除を受けられる可能性があります。一定の要件を満たせば、所得税・住民税の負担を大幅に軽減できます。
売却によって損が生じたときは損益通算や繰り越し控除などの制度を利用できる場合があります。確定申告で正しく申告することで、他の所得と相殺して節税効果が期待できるので、適用条件を確認して手続きを行いましょう。
譲渡所得税と特別控除の要件を押さえる
マイホームを売却する際、一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除を適用できます。これにより、譲渡所得が発生しても課税額が抑えられるメリットがあります。
特別控除が認められるには居住用の住宅であること、家族以外に貸し出していないことなど、細かな条件が設定されているため、国税庁の情報や専門家のアドバイスを参考にすることが大切です。
所有期間が10年を超える場合には、長期譲渡所得の優遇税率が適用されるケースもあるため、売却時期を調整できるなら検討してみると良いでしょう。
売却損が出た場合の損益通算・繰り越し控除
不動産売却で生じた損失は、条件によっては給与所得など他の所得と相殺できる損益通算が可能です。翌年以降にも繰り越せるケースがあるため、長期的にみると大きな節税メリットがあります。
ただし、適用を受けるには住宅ローン残高や居住用要件など厳格な条件が定められています。売却前に税理士や専門家に相談し、要件に合致しているかを確認しておくと手続きがスムーズです。
確定申告を行わないと、これらの優遇措置を受けられない場合があります。必要書類の提出や期限を守り、正確に申告することで、余分な税金を支払わずに済むように準備しましょう。
リースバックという手段:手放しても住み続ける方法
家を売却した後も、その家に住み続けることができる方法としてリースバックがあります。住宅ローン返済の負担を減らしながら同じ住まいに住みたい人に適した選択肢です。
リースバックとは、家を一度売却して所有権を移転した後、元の所有者が賃借人となって家賃を支払いながら住み続ける仕組みです。売却益でローンを完済すれば、月々のローン返済が不要になり、固定費を抑えられます。
高齢の両親がいる場合など、住み慣れた家を手放したくないが返済が苦しいというケースで活用されることが多い方法です。所有権が他人へ移るため将来的に買い戻しが難しくなるリスクがありますが、利便性は高いといえます。
家賃として支払う金額や契約期間などの条件は、買い手との交渉次第です。リースバックを検討する際は、実績のある不動産会社に相談して、信頼できる契約を結ぶことが大切です。
よくある質問Q&A
住宅ローン返済中の家の売却では、よく寄せられる疑問点が数多くあります。ここでは代表的な質問とその回答を簡潔にまとめました。
ローンや抵当権の問題を抱えた状態での売却は、誰もが不安を覚えやすいテーマです。タイミングや金融機関とのコミュニケーションなど、重視すべきポイントを整理しておくとスムーズに進みます。
FAQに目を通すことで、手続き上や資金計画における最初の疑問を解消できます。詳細がわからない場合は不動産会社やローン担当者へも積極的に相談してみてください。
Q1. 住宅ローンが残っている家がなかなか売れない場合は?
売れ残りの原因として、価格設定が相場と合っていない可能性があります。相場より割高になっていないか、不動産会社と価格を再検討してみてください。
売り出し時期や宣伝方法にも工夫が必要です。季節や地域特性を踏まえて新しい売却戦略を立てたり、別の不動産会社に切り替えて売却活動を見直すのも一つの手段です。
売却が長引くほど住宅ローン返済の負担が続きます。少しでも早く売りたい場合は、値下げなど積極的な調整を検討し、合理的な価格での売却を目指してください。
Q2. 35年ローンの途中でも売却可能?どんなデメリットがある?
長期ローンの途中でも、売却金額でローンを完済できれば家を売ることは可能です。ただし、まだ返済期間が長く残っているため、売却後にあまり手元資金が残らない可能性があります。
借入期間が長いと、ローンの残額が多くオーバーローンになりやすい側面もあります。その場合はオーバーローン対策が必要です。
買い替えや転勤など人生設計上やむを得ない事情がある場合は、デメリットを整理しながら最適な売却方法を選択しましょう。
Q3. オーバーローンで売却した後にローンが残ったらどうする?
任意売却を選択しても残債が全額は返済できない場合があります。金融機関との合意で残った分を分割返済するなど、返済スケジュールを再調整することが可能です。
信用情報への影響は残りますが、競売よりはマイナスが軽減される場合があります。売却収入を最大化するために、早めに金融機関と相談して突破口を探すことが大切です。
任意売却後にも一定の返済義務が続くため、収支計画を立て直すことと、新たな住居費用のやりくりが鍵となります。
Q4. 任意売却が信用情報に与える影響は?
任意売却は競売を回避できる一方で、金融機関との交渉の結果としてローンの支払い条件に変動があるため、信用情報に傷がつく可能性があります。自己破産ほどではありませんが、将来のローン審査には影響が出ることもあります。
信用情報への影響度合いは、任意売却を行うタイミングや金融機関との交渉内容によって異なります。できるだけ早めに対応し、選択肢を増やすことが大切です。
違約金の発生や残債が残っている場合には、金融機関と話し合いながら返済計画を組むことで、次のステップに進みやすくなります。
Q5. 売却時に確定申告が必要となるケースは?
譲渡所得税の計算対象となる売却益が出た場合や、損益通算や繰り越し控除を適用する場合には、確定申告が必要です。申告を怠ると税金が過大になったり、特別控除を受けられなくなる可能性があります。
複数の不動産を所有している方や、賃貸収入を得ている場合は税金面がさらに複雑になる場合があります。きちんと専門家に相談するのがおすすめです。
書類の不備や手続きの遅れが生じると、ペナルティを課されることもあるため、必要書類を早めに準備し、期限を守って申告手続きを行いましょう。
まとめ
住宅ローン返済中の家を売却する際には、抵当権の抹消やオーバーローンへの対処など、注意すべき手続きが多数存在します。正しい知識と計画をもって行動することで、経済的・精神的な不安を軽減しながらスムーズな売却を実現できます。
売却を検討する場合、まずは自分のローン状況を正確に把握し、適切な売却価格や必要な交渉内容を明確にすることが大切です。アンダーローンなのかオーバーローンなのかによって、選択できる方法は大きく変わります。
オーバーローンの場合でも、自己資金の投入や住み替えローン、任意売却など複数の手段があるため、焦らずに最適な選択肢を模索しましょう。離婚や買い替えといった個別の理由によっても、手続きのポイントや費用負担が変動します。
税金や諸費用の知識を常にアップデートし、確定申告をしっかり行うことが資産形成においても大切です。必要に応じて専門家の助言を仰ぎながら進めると、リスクを最小限に抑えた売却を実現できます。

